コラム | YOKOと過ごすフランス時間 | ノルマンディの休日ドーヴィル

Bonjour à tous !

 

前回は復活祭当日ということで急遽テーマを変更して皆様にメッセージをお送りいたしました。

そして今日はお約束していた町、ドーヴィルをご紹介させていただきます。その前に少しだけフランスの地方についてご説明いたしますね。

フランスは2016年よりそれまでの22地域圏から再編成され、現在は13の地域圏から成っています。それまでオート=ノルマンディ、バス=ノルマンディと別れていた地域圏が統合されてノルマンディ地域圏になっています。このノルマンディ地域圏には、日本人にも人気の観光スポットが数多く存在する魅力的な地域圏です。多くの画家たちが描いたエトルタの断崖やモネの邸宅で有名なジヴェルニーもありますし、世界中の人々を魅了し続ける「モン・サン=ミシェル」もあります。
また、16世紀に生まれたレースで有名な町、アランソンもある地域です。そしてフランス人、とりわけパリジャン、パリジェンヌにとっては、パリからアクセスもよいこの地方に田舎の家を持つことがステイタスです。ですからノルマンディの田舎町には週末にお洒落なパリジャン、パリジェンヌが過ごすための素敵なサロン・ド・テやアンティークショップなどが点在しています。私の友人のパリジェンヌ達の中でもノルマンディに長く別荘を持っている人、最近購入した人など頻繁に名前が挙がる地方です。

私が初めてドーヴィルに行くきっかけになったのは、やはりノルマンディに田舎の家を持つ友人から招待を受けたある夏でした。その際に友人から別荘で過ごした後、ドーヴィルに立ち寄ってからパリに戻ることを勧められたのですが、これが大正解でした。



 
 

ドーヴィルといえば先ず思い浮かべるのは、映画「男と女」の海辺のシーンではないでしょうか。
1966年にフランスで公開され大ヒットした映画ですが、50年以上の時を経て、同じキャスト・スタッフが再集結して今年、日本でも「男と女 最良の日々」が公開されましたね。
私はこの1966年版を初めて見た時にアヌーク・エーメの美しさに、それまで私が感じていた女性の美しさの価値観とは違う部分で惹きつけられ、初めて「フランス女性ってなにもの?」という気持ちを抱きました。
今年公開された新しい「男と女」では早朝のパリを車で駆け巡るシーンがあまりにも感動的で。。。
これは1976年にクロード・ルルーシュ監督が撮った「C’était un rendez-vous」という短編映画を使用したそうです。
パリが好きな方ならワクワクが止まらないと思います。

私は運転もできないくせにスピードが大好きですので大興奮しました!
ほとんどの道を記憶していたことも胸が熱くなった理由だと思います。
早朝のパリ、皆様も誰かあるいは何かを探しに駆け抜けてみてください!

 

さて、ドーヴィルはイギリス海峡に面した海辺の町です。海岸に着くとまず、カラフルなパラソルが目に飛び込んできます。ここはココ・シャネルが避暑に訪れた際に気に入って、1913年に初めてモードのお店を開いた場所としても有名です。

そしてルイ・ヴィトン、エルメスなどの高級ブランドのお店がパリとは違った雰囲気で楽しめる町でもあるのです。

海岸までの散歩道では屋外の移動図書館が開かれていて気持ちよさそうに読書している場面にも遭遇。眺めているだけでも幸せになります。



ドーヴィルの町の成り立ちはナポレオンの義理の娘オルタンスの息子であるモルニー公爵(1811〜1865)と深いかかわりがあります。オルタンスが最初に結婚したのはナポレオンの弟でふたりの間に後のナポレオン3世となる、ルイ・ナポレオンが生まれます。
その後、オルタンスは離婚し、交際相手との間に後のモルニー公爵にあたる子供を設けます。その彼がバカンスでドーヴィルを訪れこの地に魅せられました。
そして、ここは1860〜64年にかけて保養地として整備されパリからの鉄道も敷かれて観光客のためのホテルや別荘が建築されていきました。
パリのブルジョワ階級もこぞって休暇を過ごす地となり、数々の素晴らしいヴィラ(庭付きの邸宅)が建てられてゆきました。
カジノや競馬場もあり、瀟洒な家々が並ぶこの町には、オシャレな人が行き交いエレガントな雰囲気がただよっています。
ノルマンディ地方の特徴であるコロンバージュと呼ばれる木組みの家々が町の風景に美しく溶け込んでいます。


 

ドーヴィルから橋をひとつ渡ると古くからの漁村が発展したトゥルーヴィル=シュル=メールです。ドーヴィルほど豪華ではないですが魅力がぎっしり詰まったどこか懐かしさを覚える庶民的なリゾート地です。

ここは多くの芸術家、写真家、作家などを魅了したことでも知られていますが、マルグリット・デュラス(1914-1996)が暮らし、有名な小説「愛人ラマン」を執筆した優美なアパルトマン「レ・ロシュ・ノアール」(1866年建築)が海岸沿いの外れに優雅に佇んでいます。




 

トゥルーヴィルを愛したアーティストとしてポスター作家のレイモン・サヴィニャック(1907〜2002)の名も挙げられます。映画や広告のため、シンプルな構図の中にユーモアが溢れるポスターを多数く手がけた彼は1979年からここで暮らし、そしてこの地で亡くなりました。


 
 

のどかな漁港も今ではお洒落な人たちの避暑地になっていて、ハリウッドのセレブたちも出入りするというレストラン「レ・ヴァプール」で私もランチを楽しみました。
ここではエイのバター風味やスープ・ドゥ・ポアソン(魚のスープ)など新鮮な素材のシンプルなお料理をいただくことができます。


 

ホテルは「男と女」の舞台にもなったオテル・バリエール・ル・ノルマンディー(Hotel Barrière Le Normandy)がお勧めです。
お部屋はもちろんですが朝食も本当に美味しくて、思い出すだけですぐにでも飛んでいきたくなっています!

皆様も次回のパリ滞在時にはきっとドーヴィルまでの優雅な一泊二日の小旅行を計画なさってくださいね。


 

 

Beau voyage à vous !

YOKO