コラム | YOKOと過ごすフランス時間 |お仕事を通して知ったフランス

 

Bonjour à toutes et à tous !

6月に入りましたね。フランスではサクランボの実る頃です。
サクランボは夏、太陽、甘さなどのイメージがもたれていて、この時季にはマルシェで可愛らしい木箱に入った赤い実をよく見かけます。
フランスの家庭でこの季節になると必ず作られるのがクラフティです。
サクランボが良く採れるリム
ザン地方の伝統菓子で、今では色々な果物で作ってもクラフティと呼ばれますが、もともとはサクランボで作られるお菓子でした。

さて、フランスでは62日からパリでも飲食店のテラス席がオープンされることになりました。
フランス人にとってテラスで食事するということは私たちが想像する以上にずっとずっと大事な習慣ですので、きっと大喜びしていると思います。

 

そこで今日はテラスのある光景というテーマで画像を用意してみました。お話の内容とは全く関係ないですが、ここどこかな?と思い描きながら楽しんでくださいね。すべて私が思い出の時を過ごした場所です。

中でも、初夏のパリで過ごすお気に入りはホテル・リッツの中庭とその周りを囲むテラス席です。ドリンク片手に本を読んだり、何にもしないで洗練された美しさを眺めているのも至福です。

さて、ここ数回のコラムでは少ししつこいくらいにバラやお花を取り上げましたので、今日は赴きを変えて私がどんな風にお仕事でフランスと関わってきたのかを振り返りながらお話したいと思います。

最初は1998年、神戸のBALの中に入っていたシックなインテリアブランド「カトリーヌ・メミ」でのお仕事からでした。お仕事を通してはじめてパリジェンヌに会ったのはカトリーヌ・メミさんでした。

1999年に神戸で開催されたオルセー美術館展のときには、オルセー美術館の学芸員と日本側のスタッフの通訳のアルバイトも経験しました。作品が厳重な警備のもと運ばれ、パリからやって来ていた学芸員たちが作品に問題が起こっていないかを数日間かけて慎重に確認し、展示室に飾ってゆく行程をすぐそばで見ることができました。もちろん言わずと知れた名品にも触れられるくらいに近くで、そして美術館で見るのとは全く別の角度から。美術館の仕事を本場のフランス、それもオルセー美術館のスタッフとその作品群から知ったという体験は今思えばとても贅沢なことです。

その後、留学などを経て神戸に戻りお世話になることになった会社が、南仏のインテリアやフレグランスのブランド「コテ・バスティド」の代理店も担っていたので、ここでは南仏の文化を知る機会に恵まれました。これ以外の多くのフランスのブランドも取り扱い、パリ近郊で年に2回開催される展示会に通うこともルーティンになりフランスのビジネスの世界を知ってゆきました。

また、この間、大阪で開催されたフランスのアマチュア芸術家をサポートするイベントの通訳や、今は亡きジャック・シラク大統領来日の際の大阪滞在では、フランスからついてくる大勢の関係者の通訳やお世話係といった単発のお仕事もしてきました。この時は大統領と記念撮影させてもらえる機会に恵まれたのですが、現れた時にあまりに大柄なこととそのカリスマ性に圧倒されたことがいまでも忘れられません。ご一行帰国前には、大統領専用機の中も見学させてもらった思い出があります。

そして、2008年から今もずっと関わっているのがパリの洋菓子の老舗メゾン「ラデュレ」です。きっかけは働き始める数年前にバカンス先で知人から紹介された日本好きのパリジェンヌでした。この女性がメゾンでとっても重要なポストでお仕事していた関係で、ラデュレが日本に上陸するときから関わることになりました。

パリに通い始めた頃からの憧れのメゾンでしたし、その世界観に魅了されパリに到着すると翌日の朝食は必ずラデュレで、と決めていたくらいに好きでしたからお仕事で関わることになるなんて夢のようでした。今は初々しい気持ちこそなくなってしまいましたが、メゾンで働くきっかけになったこの女性から仕事を超えた「フランス」を学び、今に至っていると確信しています。

このほかにもパリジェンヌの美術史家をサポートするお仕事では、ご主人で当時パリの有名な美術館の館長を務めていたムッシュとのやり取りなども含めて、それまでは知らなかったフランスの知識層の世界も垣間見ることができました。この頃にはフランス語の文章や語彙もまるで底なし沼のように深いと感じるようになっていて、終わりのないフランス語学習と生涯つき合う覚悟を決めたのでした。

今日はまるで履歴書を文章で紹介するような内容になってしまいました。これからの人生にどんな役割が準備されているのか未来に旅してこっそりと見てみたいです。

締めくくりはお約束どおりテラスのある風景で。。。次回はフランスの香りのお話をいたしますね。

 

皆様の6月がサクランボのような甘い日々でありますように!

Je vous souhaite un beau mois de juin !