Bonjour à tous !
今日は皆様をヴェルサイユへお連れしたいと思います。
ヴェルサイユといえば思い浮かべるのはフランスが誇るあの威厳に満ちた宮殿ではないでしょうか。
でも、今日は目線を変えて宮殿を背にしてフランス史の中でも特別な役割を担った城下町を歩いてみましょう。
建築や看板のデザインなど美しいものに溢れています。
昔、フランス人の友人達と地方を車で旅した帰りパリに戻る途中でヴェルサイユの町にさしかかった時に、急に一人の友人が「お惣菜屋さんに寄りたいから止めて!」といったのでびっくりしていたら、他のメンバーは当然のようにうなずいて、お店に到着したら嬉しそうに降りてゆきました。
我々外国人観光客には結びつかない発想ですが、なるほど、ここはスノッブな町なのです。
ということはお菓子屋さん、パン屋さん、お惣菜屋さんなどもそこに住む住人に向けて高級で品質の良いものが揃っているというわけです。
私もつられてその日の夕食用にとテリーヌやパテ、デザート用にケーキなど買って楽しんだ思い出があります。
確かに町を歩くと漂う上品な雰囲気は、そこに住む人たちによって醸し出されているのだと思います。
今でも元貴族なども多く住むこの町にはアンティークを売るお店も多く存在しますし、18世紀の栄華から革命に至る歴史のすべてを見てきたのではないかな?と思うようなすり減った木の階段のある建物など見つけると、言葉が出ない感動に包まれます。
アンティーク店のご主人たちも品格と余裕があるように思います。
ここではものを探して手に入れるというより、美術館のように鑑賞してお店の方との会話をとおして貴重な経験を楽しむことができます。
ヴェルサイユの町は朝市やアンティーク村、そして美味しいスイーツなども楽しみですが、今日、特におすすめしたいのは「王の菜園」です。
ここは、1678年から1683年にかけてルイ14世の命を受け造園設計家であったジャン=バティスト・ドゥ・ラ・カンティニによってルイ14世の食卓に献上される野菜と果樹を栽培するために造園されました。
王の食べたい野菜や果物を、食べたい時期に収穫できる菜園を造ることを任されたドゥ・ラ・カンティニは、様々な技術を駆使し菜園を造り上げました。
そこでは当時から冬にアスパラガスやイチゴを食べることができたようです。なかでもこの菜園で王にとっての自慢の種となったのが果樹栽培であり、宮廷の貴族を菜園の散策に誘ったり、王自ら賓客を菜園に招きその成果を見せていたそうです。
リンゴのエリアには昔の品種と現在の品種が混在しています。
また、品種の多さに加えて特徴的なのは木の剪定の仕方です。
ナシの木は平面に横長に枝を張り巡らせています。
これは当時のヴェルサイユ宮殿の庭園と同じように機能性よりも美しさを重視させた「美しい庭」を追求してつくられたものだそうです。
ナシの木も壁に支柱を張り、そこをつたってぐんぐん伸びています。
こちらの菜園は現在、国立庭園高等学校 ” l’Ecole nationale superieure du paysage” が管理と栽培を行っており、学生が作っている畑や学校が品種改良研究を行っている畑のある区画もあります。
王の菜園では昔の栽培法や果樹の剪定法の保存・継承も役割としています。
また、古代種・新種を問わず、一般にあまり知られていない種や希少種のコレクションに力を入れています。
そして話題のBIO、有機農業を実践し、合成化学肥料の利用は極力減らしています。
そして、ルイ14世が宮殿からお出ましになっていた門が今でも残っていて必見です。
この菜園で収穫した野菜や果実は、ジャムやジュースなどの加工品として売店で販売されています。
ナチュラル嗜好の化粧品も販売されていました。
パリでは手に入らないお土産にも素敵ですね。
日本でも人気がある二ナスの紅茶にはここで採れたリンゴが入っていると記載されていたので、疑い深い私は菜園の方に「本当ですか?」確認したら間違いないとおっしゃっていました!
王の菜園の近くには近所に住む人たちの憩いの場になっている静かな公園もあり、さらに進むと素敵なお店もチラホラ。
以前お話を伺ったヴェルサイユ市の広報の方は「多くのポテンシャルがある町なのに十分に活かせていない、世界中から観光客が集まっても、大型バスでパリと宮殿を往復して帰ってしまう」と嘆きながら宮殿以外での様々な企画を提案されていました。
こんなに深い町ですから、できることなら一泊して太陽王ルイ14世が創り上げた絢爛豪華な宮殿やフランス式庭園などを見学しマントノン夫人、ポンパドゥール夫人や王妃マリー=アントワネットの暮らしを想像しながら一日目を過ごし、翌日は朝市でのお買い物やアンティーク街、そしてサロン・ド・テでティータイムなど。。。あなただけの思い出の時間を演出されてくださいね。
Belle découverte à vous !
YOKO