コラム | YOKOと過ごすフランス時間 | 夢のクチュリエ、クリスチャン・ディオール (1)

Bonjour à tous !

En avril, ne te découvre pas d’un fil ; en mai fais ce qu’il te plaît.

これはフランスでよく使われる季節のことわざで、「4月はまだ寒いから糸一本も脱がないで、5月になったらお好きにどうぞ 」という意味です。
今年はお好きに。。。というわけにはまいりませんね。

地球規模で前代未聞の4月でしたが皆様はポジティブな日々をキープされているでしょうか。
おひとりおひとり状況が違う中で「頑張りましょう」という言葉も正しいのかどうかわかりません。
でも私のコラムを読んでくださる方々はフランス好きということを信じて、ここではささやかなフランス時間を引き続きお届けいたしますね。

 


 

私はこの一か月、パリのラデュレチームと定期的にビデオ会議を行ったり、今はまだ詳しくお話しできませんがこれを読んでくださる皆様なら全員が大喜びして下さる本の翻訳作業などをしています。

51日にはインスタグラムでミュゲの日をお祝いしてクリスチャン・ディオールとミュゲのお話を綴らせて頂きましたが、今回はその続きとしてクリスチャン・ディオールのお話をさせていただきます。上の画像はある年のメゾンの新年のカードに飾られたシンボルのミュゲです。そして下の写真はメゾン30周年の時にメゾンのスタッフへ配られた記念のメダイユです。

 

さて、クリスチャン・ディオールのドレスといえば日本中の誰もが一度は見たことがある高貴なドレスがあります。当時の皇太子妃美智子妃殿下の美しいドレスです。

ウエストに大きなリボンがあしらわれた気品高いあのローブ・デコルテはすぐに思い描けるのではないでしょうか。

世紀のご成婚から遡ること6年、1953年に東京でクリスチャン・ディオールの初めてのショーが開催されました。当時はまだ着物姿が多かった日本女性に大きな衝撃を与えたそうです。このショーには高松宮妃殿下もお越しになられていて、これがきっかけで将来皇太子妃殿下になる方のドレスをクリスチャン・ディオールに依頼することになったのだとか。でも、クリスチャン・ディオールはご成婚の2年前に心臓発作で突然世を去ります。ですから、実際にあのローブ・デコルテを任されたのはムッシュ・ディオール亡き後、主任デザイナーに任命された当時まだ20代前半のイヴ・サンローランでした。ムッシュ ディオールが描いていたデッサンをもとに、ムッシュから惜しみなく受けたデザイナーとしての教えを忠実に実現したのでしょう。別の機会にイヴ・サンローラン美術館もご紹介いたしますね。。。

 

 

このように日本が誇る伝統の龍村織物の布地を使い、フランスが誇るメゾンが仕立てた日仏融合はクリスチャン・ディオールの夢だったのです。母マドレーヌの影響で日本に憧れていた彼は、着物の美しさをたたえ、日本人女性についてこんなにも嬉しい言葉を残してくれています。

Les femmes japonaises ont une beauté qui leur est particulière, elles doivent garder à tout prix cette délicatesse qui est leur plus grande charme.

(日本人女性は特別な魅力を持っています。大きな魅力であるその繊細さを守るべきなのです)

 


私はディオールのお洋服をオーダーできるようなクラスではありません。そしてフランス人のモードな友人からは「ヨーコはまたメメ(おばあちゃん)みたいな格好してる」とからかわれるくらいにオーソドックスな趣味でファッションに敏感な人たちからは遠いところにいると思っています。そんな私がクリスチャン・ディオールに惹かれる理由は次回に。。。素晴らしい展覧会をご紹介しながらお話しいたします。楽しみにしていてくださいね。

Je vous souhaite un bon mois de mai.

YOKO